2018年10月25日木曜日

参考書レビュー:公式 TOEIC Listening & Reading トレーニング リーディング編




公式 TOEIC Listening & Reading トレーニング リーディング編

■本番と同様に作られた問題集

本書は実際のTOEICの問題を開発したETSが制作した、という点が一番のウリです。
レベル感を本番と比べるのは難しいのですが、ETSには過去の受験者の膨大なデータが有るはずで、こういう点は公式にまさるところはありませんので、本番とのレベル差は無いと言っていいと思います。

■375問を20個のセクションに分けた構成

模試形式ではないので、Part5~7がそのまま再現されているわけではありません。
各セクションは、Part5形式は5問で固定、Part6~7が15問程度(セクションによって増減)で、約20問がワンセット。

1つのセクションの学習時間や解答時間の目安は示されていませんが、本番に近いペースと考えると解答時間は15分程度でしょうか。
復習も入れると20~30分程度かと思いますので、少しずつ取り組むにはちょうどいいボリュームでしょう。

■弱点は、解説が一切ないこと

この問題集の最大の弱点、それは解説が一切ないということ。
問題の正解と日本語訳はありますが、なぜその答えになるかという説明はないという、割り切った構成になっています。
これがAmazonなどで評価が低くなっている理由ですね。

ただ僕の個人的な意見としては、そこまで酷評されるほどではないと思います。
Part5・Part6は文法から答えを見つけるコツみたいなものがあるので解説有ったほうが親切かなと思いますけど、Part7とかは完全に文脈なので、訳だけあれば十分なんですよね。

文法的なところで詰まる場合には、「でる1000問」など、文法問題を扱った参考書に先に取り組んで基礎力を高めたほうが良いでしょう。

■問題のレベルは高い

レベルが高いというのは難しいという意味ではなく、本番に近いという意味で。
模試本で、あえて本番よりもやや難易度を上げて、きつめのトレーニングをするというコンセプトの本は、分かるといえば分かるんですけど、別に本番と同じで良いと思うんですよね。
例えばマルチパッセージとかでも、問題を出題する際にそれぞれの文章をどうやってつなげて情報を拾わせるかというところでは、難しくしようと思えばいくらでもひねくれた問題を作ることはできますけど、「それってTOEICのトレーニングとして必要?」と僕は思っちゃうわけです。
別に、本番と同じさじ加減でいいし、その方が練習になると思うんですよね。

■もっと評価されていい本だと思う

僕はこの本はもっと評価されていいと思っています。

「解説がない」という点では、TOEICの問題ってゆっくりやればそんなに難しいと思えないので、元々いらないかなと。

「問題が本番より簡単」という指摘もありますけど、あまりそうは思わないですね。
というか、本番も割と簡単であって、本番でスコアが上がらないのはスピードとか持久力の方の問題なんじゃないかなと。
そのへんに弱点がある人は、本番と同じ分量と時間を意識した練習をしたほうが良いので、本書は向いていないですね。

「許容解があるようだ」という指摘もあります。
つまり、正解以外の選択肢も正解と言っていいものがあるのではないか、ということです。
でも僕が見た限りそのようなものはありませんでした。
問題文の日本語訳がイマイチなのでそう感じる部分があるのかも。

■こんな人におすすめ

・文法の基礎は習得済み
・一気に100問解く時間は取れない(細切れの時間で学習したい)
・すでに800点以上を持っていて、本番形式に慣れたい

やはり解説がないので、初級者・中級者には向いていないです。
身近に教えてくれる人がいてテキスト的に使うとかそういう用途以外では、完全に上級者向けでしょう。
1回の学習時間を短く出来るので、忙しい人には向いています。
もっと小さいと持ち運びやすくてよかったんだけど、小さいと長文は読みづらいから仕方ないかな。

他社の模試本のように音声がついていたり、1000問とかいうボリューム数だったりというメリットはなくて、割高感はあります。
でも公式というクオリティの高さは安心で良いかなと。

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